相続基礎知識 | 東京都千代田区の相続弁護士 菅野光明

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相続発生後にするべきことは

相続は、人が亡くなった時から開始します。
亡くなった人(被相続人)の財産や負債等、被相続人の権利や義務を、被相続人が死亡した時から相続人が引き継ぐのが相続です。

相続開始後は、以下のようにしなければならないことが数多くあります。

  • 葬儀の手配、葬儀費用の支払い
  • 医療費、介護費用の精算
  • 健康保険、年金の手続
  • 公共料金の名義変更の手続
  • 世帯主の変更の手続
  • 保険会社、携帯電話会社、クレジットカード会社等の死亡の連絡

このほかに、相続に関係する重要な事項として、以下のものがあります。

死亡届の提出

死亡届は、届出義務者が死亡の事実を知った日から7日以内にしなければなりません。
届出義務者は、①同居の親族、②その他の同居者、③家主、地主または家屋若しくは土地の管理人の順序ですが、順序にかかわらず届出をすることができます。
死亡届には、死亡診断書(死体検案書)を添付しなければなりませんが、死亡届の用紙とセットになっています。
届出は、本人(被相続人)の本籍地、死亡地または届出人の所在地の市区町村の役所・役場で行います。

遺言書があるかどうかの確認

遺言書があるかどうかで相続の手続が大きく変わってきます。
そこで、相続手続を始めるにあたっては、まず遺言書があるかどうかを確認することが必要です。
公正証書遺言の場合は公証役場でも保管されています。公正証書遺言が作成されると、公証役場は、公証役場に公正証書を保管するとともに、遺言者に対して公正証書の正本・謄本を交付します。公証役場での公正証書の保存期間は20年です。相続人等の利害関係人には、遺言の閲覧請求権と謄本の交付請求権が与えられています。平成元年(1989年)以降に作成された公正証書遺言であれば、遺言の作成年月日、証書番号、遺言者の氏名、作成した公証人名を全国どこの公証役場でも検索できます。
自筆証書遺書の場合は、家庭裁判所での検認手続が必要になります。
平成30年7月6日に成立した民法改正と同時に、法務局における遺言書の保管制度ができました(令和2(2020)年7月10日から施行)。封のされていない所定の様式(法務省令で定める様式)にしたがって作成された自筆証書遺言が保管の対象となり、遺言書の原本が保管されるほか、画像情報等の遺言書に係る情報が管理され、相続人、受遺者等は、遺言書保管事実証明書の交付請求、遺言書情報証明書(遺言書の画像情報等を用いた証明書)の交付請求、遺言書原本の閲覧請求を請求することができます。遺言書保管所に保管されている遺言書については、家庭裁判所での検認手続が不要になります。

相続人の調査

相続手続のためには、法定相続人が誰であるかを調査し、確定することが必要です。
持っている情報を手掛かりにして、戸籍等を取り寄せて調査、確定をします。
被相続人の出生時から死亡時までのすべての戸籍(除籍,改製原戸籍)謄本、相続人全員の戸籍謄本のほか、場合に応じて必要な戸籍謄本を取り寄せる必要があります。
また、相続人の本籍地だけでなく、住所を調査・確認することも必要です。これは、相続人全員の住民票または戸籍の附票を取り寄せることによって調査・確認します。
これらを取り寄せるためには、①まず、被相続人の死亡時に戸籍が置かれていた本籍地の役所から戸籍謄本を取り寄せ、②次に、その戸籍謄本に記載された内容を見て、ひとつ前の戸籍謄本を取り寄せ、③さらに、同じことを繰り返して出生時の戸籍謄本まで取り寄せるというように新しいものから古いものへと戸籍をさかのぼっていくことによって行います。
物理的にも精神的にも、かなりの手間と負担がかかるというのが実情です。ご自分で戸籍謄本を取り寄せて集めるのが難しい場合には、専門家である弁護士に手続を依頼することもできます。通常は、弁護士に遺産分割の手続を依頼すると、その手続の一環として相続人調査をしてくれます。

相続財産(遺産)の調査

被相続人が相続開始時に有していた遺産は、原則として相続の対象となり、相続人に承継されます。
預貯金、不動産、株式、出資金、投資信託などが主なものです。債務も相続によって承継されますので確認する必要があります。
相続人が必ずしも、被相続人の遺産のすべてを把握できているわけではないでしょうから、遺産の調査が必要になる場合があります。
遺産を把握・特定する手掛かりになるものとしては、自宅にある被相続人の持ち物、被相続人宛の郵便物、貸金庫、遺言書などがあります。

相続放棄・限定承認

相続財産を調査して資産よりも負債が多い場合、または多い可能性がある場合は、相続放棄と限定承認をすることを検討することになります。
相続放棄は、自分に対する相続の効果を確定的に消滅させるもので、これによって、相続人は、初めから相続人とならなかったものとみなされるため、資産より負債の方が多い場合も、相続放棄をすれば負債を引き継ぐことはありません。
限定承認は、被相続人の債務や遺贈を相続財産の限度で弁済することを条件として相続を承認するものです。負債の方が多い場合でも相続人の財産で弁済をする必要はありません。
相続放棄、限定承認の熟慮期間は、相続人が自己のために相続の開始があったことを知った時から3か月なっており、この期間内に、単純承認、限定承認または相続放棄をしなければなりません。

準確定申告・納付

被相続人に所得があった場合、被相続人が死亡した年の1月1日から被相続人の死亡日までの被相続人の所得について、相続人が所得税の申告・納付を行う必要があります。
これは、準確定申告といって、相続の開始があったことを知った日の翌日から4か月以内に行わなければなりません。
確定申告をしなければならない人が翌年の1月1日から確定申告期限(原則として翌年3月15日)までの間に確定申告書を提出しないで死亡した場合の準確定申告の期限は、前年分、本年分とも相続の開始があったことを知った日の翌日から4か月以内となります。

遺産分割

相続人と財産財産(遺産)が確定したら、相続人全員で遺産の分け方を決めます。
遺言書があれば原則的にそれに従うことになりますが、遺言書がなかければ相続人全員による話合い(遺産分割協議)が必要になります。
話合いがまとまれば「遺産分割協議書」を作成して、これに従って、実際に遺産を分割し、遺産の名義変更や換金等の手続を行います。
相続人同士での話合いがまとまらなければ、遺産分割調停、遺産分割審判の手続で遺産分割を行うべきことになります。

相続税の申告・納付

相続税は、相続等によって財産を受け取った場合に支払う税金です。
相続税の申告については申告書の提出義務がある者については、相続があったことを知った日の翌日から10か月以内に行わなければなりません。
被相続人の死亡時の住所が国内にある場合は、被相続人の死亡時の住所地が納税地となり、そこを管轄する税務署に申告書を提出します。
相続や遺贈で財産を受け取る者が複数いる場合は、通常は共同で申告書を提出します。
配偶者に対する相続税額の軽減や小規模宅地等の特例により結果的に相続税の納税額が0になる場合でも、これらの軽減や特例を使うためには申告書の提出が必要になります。

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