相続基礎知識 | 東京都千代田区の相続弁護士 菅野光明

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遺言書がある場合の手続は画像

遺言書がある場合の手続は

遺言は、自分の死後に一定の法律的な効果を生じさせるために、個人の最終意思が一定の方式のもとに表示されたものです。遺言者の死後に法律的な効力が認められてその実現が確保されます。
遺言がないときは、具体的な遺産の帰属を決めるためには、相続人全員で遺産分割協議を行う必要がありますが、遺言がある場合は、その内容が優先します。
遺言を残して遺産の帰属を具体的に決めておけば、争いを未然に防ぐことも可能になります。
このように遺言があるかどうかで相続の手続が大きく変わってきます。
そこで、相続手続を始めるにあたっては、まず遺言書の有無を確認することが必要です。

自筆遺言証書の場合

1 自筆証書遺言とは

遺言者が、遺言書の全文、日付および氏名をすべて自分で書き(自書)、押印して作成する方式の遺言です。

2 家庭裁判所での検認手続が必要

家庭裁判所における検認手続とは、遺言の客観的・外形的状態に関する事実を調査して、後日の紛争に備えて、遺言書の原状を保全する証拠保全の手続です。検認を受けたからといって遺言書の有効性までが確認されるわけではありません。
遺言書の保管者は、相続開始を知った後遅滞なく、相続開始地の家庭裁判所へ遺言書検認の申立をしなければなりません。遺言書の保管者がいない場合は、相続人が申立をすることになります。
申立があると、家庭裁判所は、検認期日を指定して申立人、相続人に通知します。
検認手続では、家庭裁判所が遺言の方式に関する一切の事実を調査したうえで、遺言書を複写した遺言書検認調書が作成されます。
封印のある遺言書は、家庭裁判所での開封が予定されています。

3 自書の要件の緩和

従前、自筆証書遺言については、遺言書全文の自書が法律上要求されていたのですが、平成30年7月6日成立の民法改正によって、自筆証書遺言の方式が緩和され、自筆証書遺言に添付する財産目録については自書でなくてもよいものとされました。
これにより、財産目録については、パソコンで財産目録を作成したり、通帳のコピーを財産目録として添付したりすることができるようになりました。
この自筆証書遺言の方式緩和は、平成31(2019)年1月13日から施行されています。

4 法務局における遺言書の保管制度

平成30年7月6日に成立した民法改正と同時に、法務局で遺言書を保管する制度ができました(令和2(2020)年7月10日から施行)。

封のされていない所定の様式(法務省令で定める様式)にしたがって作成された自筆証書遺言が保管の対象となり、遺言者の住所地若しくは本籍地又は遺言者が所有する不動産の所在地を管轄する法務局(法務局のうち法務大臣の指定する法務局=遺言書保管所)の遺言書保管官に対して保管の申請を行います。
遺言書の原本が保管されるほか、画像情報等の遺言書に係る情報が管理され、相続人、受遺者等は、遺言書保管事実証明書の交付請求、遺言書情報証明書(遺言書の画像情報等を用いた証明書)の交付請求、遺言書原本の閲覧請求を請求することができます(遺言者の死亡後)。
遺言書保管所に保管されている遺言書については、家庭裁判所での検認手続が不要になります。

公正証書遺言の場合

1 公正証書遺言とは

遺言者が、遺言の内容を公証人に伝え、公証人がこれを筆記して公正証書による遺言書を作成する方式の遺言です。

2 公証役場での保管

公正証書遺言の場合は公証役場でも保管されています。公正証書遺言が作成されると、公証役場は、公証役場に公正証書を保管するとともに、遺言者に対して公正証書の正本・謄本を交付します。
公証役場での公正証書の保存期間は20年です。
相続人等の利害関係人には、遺言の閲覧請求権と謄本の交付請求権が与えられています。
平成元年(1989年)以降に作成された公正証書遺言であれば、遺言の作成年月日、証書番号、遺言者の氏名、作成した公証人名を全国どこの公証役場でも検索できます。

遺言執行者

1 遺言執行者の役割

遺言執行者は、遺言の内容を適正、円滑に実現するために選任される者です。
遺言の効力が発生した後は、遺言の内容を実現することになります。
遺言事項の中にはその実現のために遺言執行者の選任が必要な場合がありますが、遺言執行者の選任が必ずしも必要ではない遺言事項についても遺言執行者を選任した方が手続を円滑に進めることができる場合もあります。
一部の相続人の協力が得られないような場合、例えば、相続人以外の人に対する遺贈をする場合においても、遺言執行者がいることにより登記手続や金融機関での手続などを円滑に進めることができます。

2 遺言執行者の選任

遺言者は、遺言で、遺言執行者を指定することができます。
また、遺言者は、遺言で、遺言執行者の選任を第三者に委託することもできます。
遺言執行者がないとき、またはなくなったときは、家庭裁判所は、利害関係人の請求によって遺言執行者を選任することができます。
遺言執行者には、未成年者、破産者でなければなれます。弁護士を遺言執行者に選任することはもちろん可能です。

遺言の内容と異なる遺産の承継

遺言の内容に納得できないときは、相続人等の関係当事者で話し合って遺産の分け方を変えることは可能です。
遺言により遺留分が侵害されているときは、遺留分を侵害された者は、遺留分を侵害する遺贈・贈与を受けた者に対して、遺留分減殺請求、遺留分侵害請求をすることができます。

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