相続税
生命保険金は相続税の課税対象となりますか
被相続人が死亡したことにより支払われる死亡保険金については、法律上の取扱いと税務上の取扱いが異なります。
法律上の取扱いについて、死亡保険金は最高裁判所の判例(最高裁昭和40年2月2日判決・民集19巻1号1頁)によって相続財産ではないということで確定していますが、税務上の取扱いでは、みなし相続財産として相続税の課税対象となります。
被相続人が保険料を支払っていた生命保険金は、本来の相続財産ではないため遺産分割の対象とはならないものの、相続税法上の「みなし相続財産」とされ、保険契約上の受取人が相続又は遺贈により取得したとみなされ、相続税の課税の対象となります(相続税法3条)。
つまり、本来の相続財産ではないものの、税法上の取扱いで相続財産とみなして相続税を課税するということです。
相続税が課税されるのは、被保険者と保険料の負担者が同一人の場合です。
受取人が被保険者の相続人であるときは相続により取得したものとみなされ、相続人以外の者が受取人であるときは遺贈により取得したものとみなされることになります。
ただ、生命保険金は遺産分割の対象となるものではないため、相続税の課税の方式も、他の相続財産とは異なってきます。
具体的には、死亡保険金の受取人が相続人である場合、全ての相続人が受け取った保険金の合計額が、非課税限度額(500万円×法定相続人の数)を超えるときは、その超過部分が相続税の課税対象になります。
他方、相続人以外の人が取得した死亡保険金には非課税の適用はありません。
生命保険会社の実務上の取扱いとしては、死亡保険金を支払ったときは支払調書を税務署に提出しているようです。
(令和2年1月6日 弁護士菅野光明 記)