相続人の範囲と調査
住民票の除票、戸籍の附票の除票はいつまで保存されていますか
相続手続を行う際には相続人の調査を行いますが、その際、住民票や戸籍の附票というものを取り寄せることがあります。
住民票のある市区町村からの転出、死亡等により住民登録が消除された住民票を「住民票の除票」といいます。
また、「戸籍の附票」とは、本籍地の市町村において戸籍の原本と一緒に保管している書類で、その戸籍に入籍してから除籍されるまでの住所が記録されています。
戸籍の附票にはその戸籍の範囲での住所の履歴が記録されていますので、いくつか前の住所から今の住所までが戸籍の附票をとることでわかります。現在の附票で証明を必要とする住所までさかのぼることができない場合は、転籍前の戸籍の除附票(戸籍の附票の除票)をとることになります。結婚などで親の戸籍から独立して夫婦の戸籍を作った場合も同様です。
以前は、住民票の除票、戸籍の附票の除票の保存期間は5年間とされていました。
5年を超えた住民票の除票、戸籍の附票の除票の交付が受けられないことで、相続人の所在が確認できずわからないままということもありました。
しかしながら、住民基本台帳法施行令の一部改正(第34条第1項、令和元年6月20日施行)により、住民票の除票と戸籍の附票の除票の保存期間が5年間から150年間に変更になりました。
保存期間は、住民票の除票または戸籍の附票の除票を、これらに係る住民票または戸籍の附票を消除し、または改製した日から起算されます。
これにより、今後は、5年を超えた住民票の除票、戸籍の附票の除票の交付が受けられないことで、相続人の所在が確認できずわからないままという事態が少しずつ改善されていくことになると思います。
少しずつというのは、住民基本台帳法施行令の一部改正前に保存期間(5年間)が経過したものについては、引き続き住民票の除票や戸籍の附票の除票については従前と同じ取り扱いとなるからです。
(令和3年1月12日 弁護士菅野光明 記)