コラム | 東京都千代田区の相続弁護士 菅野光明

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相続人がいない人の葬儀費用等を支払った場合

祭祀承継

1 死亡した人に火葬や葬儀などを執り行う相続人がいない場合

親族関係が疎遠になり独居老人が増えている現在、死亡した人の火葬や葬儀などを執り行うにしても、それらを行う相続人がおらず、相続人でない親族や近所で付き合いのあった人が火葬、葬儀、納骨、永代供養などを執り行い、それらの費用を支払うことがあります。
このような事例は今後さらに増えていくと思われます。

2 死亡した人が遺産を残しており、葬儀費用等を支払う資力に問題がない場合

死亡した人に遺産がないのであればまだしも、遺産を残しており葬儀費用等を支払う資力に問題がない場合は、これらの費用を支払った人は、できれば支払った費用を死亡した人の遺産から支払って欲しいと考えることがあると思われます。
しかし、相続人でない人に遺産を処分する権限は原則としてありません。
支払った葬儀費用等について遺産から支払いを受けるためには、どのような手続を踏めばよいかが問題となります。

3 死亡した人に相続人がいない場合の遺産の管理

死亡した人に相続人がいるかどうか明らかでない場合、その遺産は相続財産法人となり、相続財産管理人が遺産を管理することになります。

したがって、葬儀費用等について遺産から支払いを受けるためには、相続財産管理人から所定の手続を経て支払いを受けることが必要となります。

相続財産管理人は、利害関係人(被相続人の債権者、特定遺贈を受けた者、特別縁故者など)または検察官の申立により、死亡した人(被相続人)の最後の住所地を管轄する家庭裁判所において選任されます。

現在の実務では、被相続人と葬儀等の祭祀法事を執り行った人との関係、被相続人の生前の意思、相続財産の額、葬儀等の祭祀法事の内容、そのために必要とされる費用の額、近隣地域の社会通念等を考慮して、社会的に相当と認められる額については、相続財産管理人が、権限外行為許可という手続により家庭裁判所から相続財産からの支出の許可を受けて相続財産から払い出すという運用がとられています。

特別縁故者への相続財産の分与という制度もありますが、死後の縁故しか無い者は特別縁故者と認められないこともあり、家庭裁判所もこの制度を活用した清算は行っていないのが通常です。

このように葬儀費用等の遺産からの支払いを受けるためには、利害関係人等の申立により家庭裁判所において相続財産管理人の選任がなされていることが必要です。
相続財産管理人が選任された後、遺産から葬儀費用等の支払いを受けようとする者は、相続財産管理人に対して、被相続人との関係、葬儀等を行うに至った経緯、執り行った葬儀等の内容、支払った費用の内訳や支出の必要性・相当性などについて、資料を提出して説明することになります。
これを受けて相続財産管理人が内容を精査し、支払いをすべきと判断した内容については家庭裁判所に対して権限外行為許可の申立を行います。
家庭裁判所から権限外行為許可審判が出されると、相続財産管理人はその許可の内容にしたがって葬儀費用等の支払いを行います。
葬儀費用等の支払いができるだけの遺産が残っており、葬儀、祭祀法事の内容や費用に必要性や相当性が認められる場合は、ほぼ支払いが認められていると思います。

このように相続財産管理人を通じた手続となるため、相続財産管理人が選任されていることが葬儀費用等の支払いを受けるための前提となります。
他の利害関係人より相続財産管理人選任の申立がされていればよいのですが、そうでない場合は、葬儀費用等を支出した人が、家庭裁判所に対して相続財産管理人の選任申立をする必要が出てきます。

 

【菅野綜合法律事務所 弁護士菅野光明】

 

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