コラム | 東京都千代田区の相続弁護士 菅野光明

03‐3221‐3335

業務時間 9:00~17:30(平日)

(ご予約で)夜間・土日休日も相談対応可能

お問い合わせ
コラム画像

コラム

相続資格が重複する場合の相続分

相続人の範囲と調査

【相続資格が重複する場合の例】

上の図のように祖父Aと孫の甲とが養子縁組をした場合を例として考えます。

1 Bが死亡の場合(Bを被相続人とする相続)

甲の父Bが死亡した場合の相続について、甲は、
①Bの子としての資格
②Bの兄弟(養子による兄弟)としての資格
をあわせて持つことになります。

(縁組による親族関係の発生)
第七百二十七条 養子と養親及びその血族との間においては、養子縁組の日から、血族間におけるのと同一の親族関係を生ずる。

もっとも、この場合は、異順位の相続資格が重複する場合であり、甲は①(子としての相続資格)と②(兄弟としての相続資格)を同時に主張することはないから、先順位の①の相続資格のみが認められることになります。

2 Bが先に死亡しており、その後Aが死亡した場合(Aを被相続人とする相続)

甲の父Bが先に死亡しており、その後、甲の祖父Aが死亡した場合の相続について、甲は、
①Aの子Bの代襲相続人としての資格
②Aの子(養子)としての資格
を持ち、同順位の相続資格が重複することになります。
重複する相続資格が両立可能であれば、相続資格の重複を認めるのが多数の見解ですが、判例はありません。
戸籍先例(昭和26年9月18日民事甲第1881号民事局長電報回答)は、相続資格の重複を肯定しています。

以下のような少し複雑な例を考えてみます。
なお、BはAの弟ですが、Aと妻との間にしばらく子がなかったため、将来の家の財産の承継のことを考えて、弟のBと養子縁組をしました。また、図の中にある番号(①や②など)はそれらが発生した順序を示しており、Aの両親はいずれもAとBの養子縁組よりも前に死亡しているものとします。

1 Aの相続について

法定相続人は、配偶者が先に死亡しておりいないため、子3名(実子甲と乙、養子B)となります。
法定相続分は各3分の1ずつ
各法定相続人は遺留分を有し、個別的遺留分割合は各6分の1(法定相続分の2分の1)

2 Bの相続について

配偶者、直系卑属、直系尊属がいないため、法定相続人は、Bの兄弟姉妹となります。
甲と乙はいずれも、
①Bの兄弟姉妹Aの代襲相続人としての資格
②Bの兄弟姉妹(BはAの養子)としての資格
を持ち、同順位の相続資格が重複することになります。
重複する相続資格が両立可能である場合に相続資格の重複を認める多数の見解や戸籍先例(昭和26年9月18日民事甲第1881号民事局長電報回答)の考え方によりますと、以下のようになります。
・兄弟姉妹甲の法定相続分(資格②) 4分の1
・兄弟姉妹乙の法定相続分(資格②) 4分の1
・兄弟姉妹Aの法定相続分4分の1の代襲相続分(資格①)として、甲が8分の1、乙が8分の1
・兄弟姉妹Cの法定相続分4分の1の代襲相続分として、丙が8分の1、丁が8分の1
⇒甲が8分の3、乙が8分の3、丙が8分の1、丁が8分の1

【菅野綜合法律事務所 弁護士菅野光明】

その他のコラム

中小企業の経営権の承継と遺産分割方法の選択

事業承継

1 中小企業における株式の共同相続 中小規模の同族会社においては、会社の安定的な経営のため、遺産に株式がある場合、相続による株式の分散をできるだけ避けることが望ましいといえます。 共同相続の効力については、「相続人が数人あるときは、相続財産は、その共有に属する。」(民法第898条)とされています(株式の場合は所有権以外の財産であるため正確には準共有ですが(民法第264条)、以下、単に共有と...

続きを読む

異順位の相続資格重複が認められる場合の先順位相続資格喪失による他の相続資格への影響

相続人の範囲と調査

1 異順位の相続資格重複の場合 異順位の相続資格が重複する場合は、重複する資格を同時に主張することはできないため、先順位の相続資格のみ認められます。 そこで、先順位の相続資格において相続資格を喪失した場合(相続欠格、廃除、放棄)に、後順位の資格で相続ができるかが問題となります。 A、B、X3人の兄弟姉妹のうち、AとXが養子縁組をした場合、Aの相続に関して、Xは、養子としての相続資...

続きを読む

相続の承認・放棄の熟慮期間はいつから起算されるか

相続放棄・限定承認

1 相続の承認・放棄の熟慮期間 民法第915条第1項は、「相続人は、自己のために相続の開始があったことを知った時から三箇月以内に、相続について、単純若しくは限定の承認又は放棄をしなければならない。」と規定しています。 他方で、同法第921条は、「次に掲げる場合には、相続人は、単純承認をしたものとみなす。」とし、同条2号では「相続人が第九百十五条第一項の期間内に限定承認又は相続の放棄をしなかった...

続きを読む

共有不動産の分割方法~遺産共有の場合と夫婦共有の場合~

遺産分割

1 共有物分割請求 民法第258条は、「共有物の分割について共有者間に協議が調わないときは、その分割を裁判所に請求することができる。」としています。 遺産分割前の相続人間で共有状態にある不動産や夫婦が婚姻中に取得した共有名義の不動産を分割したい場合、この方法によることができるでしょうか。   2 遺産共有の場合 相続の場面で、遺産分割前の遺産共有の場合には、共有物分割請求が...

続きを読む

弁護士歴20年以上積み上げてきた経験実績
依頼者お一人お一人とじっくり向き合い、ていねいな説明
きめ細やかな対応が強みです